
肺胞蛋白症とは、末梢気腔(肺胞腔内及び終末気管支)にリン脂質とサーファクタントアポ蛋白が貯留し、次第に呼吸困難が進行する稀少肺疾患です。国内における推定患者数は約1,300人とされています。
【研究班による全数調査の結果】
研究班では、1999年より同症の血清診断を行い、全数調査を行ってきましたが、2015年までに累積1,005名の肺胞蛋白症を診断しました。2014年までの罹患率はそれぞれ、0.69人/百万人/年(平均0.7人/百万人)報告されていますが最近更に多いのではないかと推定されています。
血清中の自己抗体の有無により、自己免疫性、続発性、先天性/遺伝性、分類不能型の4種類に分類され、診断基準(後述)により、診断は確定します。90-95%を占める自己免疫性肺胞蛋白症は、男女とも働き盛りの50歳代が発症のピークで、2割は自然軽快、4割は治療を要し、また、2割は呼吸不全となり長期酸素療法が必要となり、就労が困難となります。
また、6%を占める続発性肺胞蛋白症の8割は、血液疾患に合併するもので、2年生存率は40%と極めて予後不良です。さらに稀な先天性/遺伝性肺胞蛋白症は新生児、小児ばかりでなく、成人発症例も報告もあり、実態はよくわかっていません。現在日本呼吸器学会、厚生労働省研究班では、ガイドラインの準備を進めています。
このサイトは「肺胞蛋白症診療に直結するエビデンス創出研究:重症難治例の診断治療管理(2017-2019)」研究班で作成した内容を基本として、医師を中心とした医療関係者へ正確な情報と最新の情報を提供し、情報交換を活発にすることで、治療法の開発と患者支援体制の構築へとつなげていくことを目的としています。
国立病院機構近畿中央呼吸器センター 臨床研究センター長 井上義一
運営・監修:国立病院機構近畿中央呼吸器センター 臨床研究センター長 井上義一